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1980年(昭和55年4月26日〜)北アルプス縦走

 昔(約40年弱前)のことなのに、まだほんの昨日みたいに思う程色いろと記憶が蘇ります、まあ最近の事は覚えておらんのですけど。山の先達S藤さんと2人で雪の北アルプスを縦走、山スキー担いで新穂高から立山室堂までの行程。スゴの頭を超えてから疲れが堪って肉体的な苦痛(寒い・しんどい)が有りましたが思い返せば楽しかった面白い気持ち良かったことばかり。
4月26日、前泊新穂高バス停前にシュラフを出してごろ寝。昨今の話から想像するとちょっと危険か熊の事想像もしなかった。
 昨今の話は平湯温泉アカンダナ駐車場に前夜到着された登山者さん、バス亭のベンチで横になってたら熊に引っかかれたとか。早朝2時頃にタクシーさんがお迎えに〜(乗鞍の御来光を撮りたいお客さん)行くと、牛位ある熊が2頭とか3頭もウロウロ徘徊してました。
 (車の人弁当箱捨てるんだね)こんなこと聞くとどうだったんだろうか?今更遅い(笑)。
北アルプスのスライドショー
     
 初日:朝から好天、蒲田川左股を進み橋の手前で双六方面へ。ここから残雪の道となる、歩き出しは良かったがすぐに往生します。折からの暑い日差しが雪の表面が溶けてグッサグッサの雪。しょうがないから山スキーの板を付けるけどこれも捗らない。
 秩父沢のデブリ(雪崩の跡)を超えていくので時間を取られる。そりゃそうでしょうね、デブリ1コずつが軽四位から1m程の雪塊がゴロゴロ続いている登って下りて四苦八苦、デブリは歩けないと板を外せば膝まで潜り、どっちもどっちです。履いてた方が良いかな。
 こんな雪崩の巣でゆっくりはしてられないから、焦って歩き続ける。やっと沢を抜けて時間はもう午後になってる、早めに尾根の上部まで上がりたい。乗越を左上に見ると雪庇が出てる、右手のしっかりと雪に埋まった急な谷を登る。一歩一歩足首まで潜り、その内膝まで嵌る。Sさんばてて来た。テント場にする支尾根まで出なければならない。Sさんトップで最後のピッチを上がる。一歩をピッケルで確保するように登る。Sさんから再度「滑落注意」と言葉を貰う。
 コメツガの樹の下で設営、槍穂高の展望が良い、広々とした支尾根の一角でもう雪崩の心配はない平なのでほっとする。夕方薄い雲広がる。
 4月27日朝から天気良いけど次第に高曇りとなります、アイゼンが良く効く。すこぶる急坂を登ると弓折岳頂上でした。3つばかりピークを超えて双六小屋へスキーで滑降。Sさん転倒時間が掛かる、自分はストック制動で慎重に、雪が固いんだ。
 小屋の周りは雪が風で飛ばされて積雪少ない。けど1階部分は雪に覆われてるる、外は風が強くて堪らない二階の冬季入口から中へ入る無人。中で昼食温かいものを。
 双六下をトラバース山頂部は地吹雪、ライチョウ。脹脛までのラッセル。やっとの事で稜線へバテル〜チーズを食べた。写真は疲れた時の物だろう。髪が今の3倍とか4倍もフサフサやないか(画像見て笑)。
 標高点2854m風がまっすぐ立てないほど強まる。振り返ると双六岳はガスの中。西に沸いた黒雲の中に捕らわれる、三俣蓮華岳14:35着地吹雪が吹雪に変わる。危ないので急いで尾根を下る。黒雲で夕方の様に暗くなり強風で三点確保して立止まる。
 風の息で前進また止まるを繰り返す。2度地図を確認吹雪で目が痛い、灰色の闇で方向が良く判らない。広い雪原でSさんがハイマツの脇でビバークを決める。もう下りる方向が判らずに止まったままにその場でテント設営。もう16時です。雪が固くてスコップの歯が立たない。
 幾らか斜めの斜面なので2m×1m四方をピッケルで1時間程掛けて平らにならす。テントを設営してからSさんが入れようとしたマットがパッと飛んでった、一瞬の間に消えて無くなる。テントの中へ入るとホットする、外は暴風雪だ。
 4月28日九時頃ガスが消えて天候は回復、黒部五郎も笠も見える。急斜面をスキーで滑って小屋へ下りる。三角屋根のかわいい小屋です。黒部五郎へ向かう登山者1名〜有り。後からもう一人来て双六で忘れたナイフを返して貰う「ありがとう」、自分が小屋へナイフ忘れたんだ取るに戻る元気も無かったからすごくハッピー。。暖かなので外で昼食、ラーメン・コーヒー。スキーの練習三回で止める。ナイフの御礼にコーヒーを沸かす。
 
 4月29日4時起床5時15分出発少し登ると太陽が出た。アイゼンがキイ〜キイ〜と良く効く、陽が差すと雪が緩みアイゼンが潜るようになる、Sさん遅れる。7:40黒部五郎岳着、北風凍るような冷たさ。笠・槍・鷲羽・水晶展望するのに良い。あれは赤牛か。北斜面は固い雪になりアイゼンを効かして下る。「滑落にきおつけよ〜」だ。
 北の股岳11:30着ここよりスキーで滑り下りる。太郎平小屋着12:55、小屋が営業中なので泊めて貰う。入口は階段状に高さ2mも雪のトンネル掘って有った。女性従業員さん1名だけ居て他の方は五色ヶ原方面へスキーに行ったんだと。ラーメンを作って食べて、サービスでコーヒーが出る。
 4月30日起床3:45、今日は薬師を超えて五色ヶ原までか?月に笠が掛かりどんよりな天候です。高曇りだが低い雲が南からドンドン流れて来る、黒部五郎も間もなく雲に飲まれる。太郎平も雲の中に〜。避難小屋過ぎると南風強まる。薬師山頂はとても寒い、ガスの切れ目に立山等が良く見える。雪稜を下っていく。1か所切り立ったナイフリッジが5m程有りビビりそうな高度有ります、ピッケルで確保して慎重に一歩一歩通過する。
 北薬師からスキーで滑降、右の黒部へ落ちないように西側を滑る。Sさんは歩くというので少し滑っては待つ。下るとザラメになって回転しやすい。「こんなヤバイ所よう滑るな〜」と云っておられる「大丈夫だ緩い方の斜面しか滑らんから」。
 スゴ小屋は2階の屋根だけ出てる凄い積雪量だ。残って居った雪洞の中で焼きそばの昼食、小雪。越中沢岳は見えるが赤牛はガスの中。スゴの頭迄上がるのに消耗する、北薬師の下ですれ違ったメンバーが通行した跡で雪が崩れて歩きにくい。右の谷へ滑落しそうですピッケル確保に疲れる。
 分岐の道標の所で小休止、休む間に降雪激しくなり視界無。スゴの頭で設営13:45.雪のブロックをテントの東と南に積む。
 
 5月1日強風とガス一日停滞。11時頃より再度荒天吹雪北西の風強まる。ラジオを聞く音楽と能登半島に低気圧。富士は雨。ブロックを西にも北にも積む。テントの外へ出るとすぐ身体が真っ白雪ダルマになる。
 
 5月2日明け方(5時頃)息苦しくて身動き出来ず、ハアハアハアとなってる。「酸欠だ〜」Sさんが急いで外へ飛び出す。テントが新雪で埋まったんだ〜。自分の上にSさんの肩と右は雪が押されてテント毎雪が肩に被ってる、で動けないんだわ。やっと身動き出来て起き上がり顔を外へ〜酸素を吸う「ハーハー」。コッヘルの蓋で積雪をどけて呉れます。新雪が60センチ程積もったんだ。そのうちにガスが切れて来た〜。薬師が真白くなって神々しい。
 7時35分出発腰までのラッセルしてコルまで下り、交代でトップを変わるけど中々標高を稼げない。雪で覆われた岩場を右のピッケルを振っ足場(手を掛ける)を作り左手は必至で岩を掴む。そして岩峰下のトラバース、板が岩にひっかり危ない通れない、ザックを置いてトラバース。ザックは細引きで引っ張る。
 頂上の三角点迄あと少し越中沢岳11:40、ビスケットとハチミツ。そこからスキーで滑降するけどウインドクラスト・もなか雪凍った雪の下はフカフカ雪。転倒ばかりで消耗する。疲れが来てる。
 コルで又飴をしゃぶり元気を出して登り始める。歩き出すとゴーゴー西風が強く手袋の指が痛い。雪庇の無い所を歩くけど、膝まで潜ぐるラッセルだ、こうたい交代でトップに。鳶山15:25しっかり時間が掛かってる、雪多いんだね。地吹雪の先に五色ヶ原山荘が見えて一安心。スキーで滑り降りる。山荘は冬季入口が判らずに中へ入れないので、シールを付けて20分程歩き先の五色ヶ原ヒュッテまで歩く。16:40着。ヒュッテの入口に生命の危険を感じた時しか使用してくれるなと書いてあり「あ〜がっかり」。今思うと結構危い感じだったから入れば良かったと。現在は五色ヶ原ヒュッテは取り壊されて無いのだ。
 風がゴーゴー云ってるけど小屋の脇にテント設営。ブロックを積む。外は地吹雪。夕焼け夜は星空が瞬く。長い日だった。
 最終日、5月3日強風快晴、五色ヶ原ヒュッテ前を6:20出発、アイゼン付けて歩いてるけどボコボコ雪だ。疲れが抜けず堪ってシンドイです。トップを交代しながら歩く。岩場ガラがらの所を過ぎて雪と急斜面の境目を登り、獅子岳手前の急斜面で梯子を雪から掘り出して、雪へピッケル突き刺し左手でよじ登る。梯子を上った疲れで一休みしてるとザラ峠から後続の登山者がやって来て(トレースも梯子も出てる)追い越される。鈴鹿アルペンクラブの4人早い早い。リックが軽そうです、追い越されてなんか良かった、これからはラッセルしなくても歩けるからさ〜。ここまでズーット自分達のトレース刻んで来た。我々は相当疲れるてるんだ。
 先行者がトラバースの向こうで休んでる〜。我々も向かうが雪が腐ってトラバース大変だトレース有るんで歩ける。
 鬼岳着11:05ひっくり返って青空を眺めると雲流れていく〜。トレースが残ってたり凍って判らない所も行くとトレース出てくる。竜王の肩まで登りきった、まずがっちり握手。最後のビスケットを2人で分け合い山と友に感謝する。
 龍王岳富山大研究所櫓の所からスキーで一気に、といっても悪雪なので斜滑降ばっかりで室堂まで休まず一気に滑り込む。わ〜ものすごう気持ち良い〜。


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